爆発的な人気から「幻の商品」とも言われ、入手困難な状況が続く発酵促進剤カルスNC-R。その類似品を探している方も多いのではないでしょうか。市場には多種多様な微生物資材が存在し、菌力アップやEM菌など、どれを選べば良いのか迷うのは当然です。
この記事では、品薄のカルスNC-Rの代わりとなる選択肢を探している方へ向けて、それぞれの資材の違いを明確に解説します。特に、有力な類似品である菌力アップの特長や、両者を併用するメリットにも触れながら、あなたの土づくりに最適な資材選びをサポートします。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- カルスNC-Rが入手困難な理由とEM菌との本質的な違い
- 類似品として「菌力アップ」が推奨される具体的な理由
- カルスNC-Rと菌力アップを効果的に併用する方法
- 自身の栽培環境や目的に合わせた最適な微生物資材の選び方
様々なカルスNC-Rの類似品と現状の課題

- カルスNC-Rが手に入らない現状と理由
- カルスNC-RとEM菌の違いを解説
- 微生物資材の自作はできるのか?
- カルスNC-Rを増やすにはどうする?
- 微生物資材に共通するデメリットとは
カルスNC-Rが手に入らない現状と理由
カルスNC-Rが現在、非常に入手しにくい状況にあるのには明確な理由があります。主な要因は、動画配信サイトを中心とした口コミでの爆発的な人気です。著名な投稿者がその効果を取り上げたことで需要が急増し、市場の供給が全く追いついていないのが実情です。
農業資材店では数ヶ月待ちの予約注文が常態化しており、もはや「幻の商品」とまで呼ばれています。この品薄状態は、単なる一時的なブームではなく、その効果の高さが広く認知された結果と言えるでしょう。
カルスNC-Rは、多様な微生物の力で土中の生の有機物を直接分解し、堆肥化する手間を省きながら短期間で良質な土壌を作り出す資材です。この画期的な機能が多くの農業者や家庭菜園愛好家の支持を集め、現在の深刻な品薄につながっています。そのため、多くのユーザーが代替となる有力な類似品を探し始めています。
カルスNC-RとEM菌の違いを解説

カルスNC-RとEM菌は、どちらも土壌改良に用いられる微生物資材ですが、その性質と役割には大きな違いがあります。これらを理解することは、適切な資材選びの第一歩となります。
まずEM菌とは、乳酸菌や酵母菌、光合成細菌などを主体とした「有用微生物群」の総称です。特定の単一商品を指すのではなく、これらの微生物を含む資材全般を指す言葉として使われることがあります。多くは嫌気性(酸素の少ない環境を好む)の微生物が中心で、土壌の微生物バランスを整える役割を持ちます。
一方、カルスNC-Rは、生の有機物を強力に分解することに特化した「複合微生物資材」です。納豆菌の仲間である枯草菌などが含まれており、土壌にすき込んだ生の有機物をエサにして急速に堆肥化を進める働きをします。これは、土壌にもともといる微生物を「0から1に増やす」というより、特定の有機物分解プロセスを強力に促進する役割です。
要するに、EM菌が土壌全体の微生物環境を幅広く整えることを目指すのに対し、カルスNC-Rは「生の有機物の分解・堆肥化」という特定の目的に特化したスペシャリストと考えると分かりやすいかもしれません。
微生物資材の自作はできるのか?
微生物資材を自作、つまり培養して増やすことは可能かと考える方もいるかもしれません。理論上、適切な栄養と環境さえあれば微生物は増殖するため、不可能ではありません。米ぬかや糖蜜などをエサにして、特定の菌を増やすことは古くから行われてきました。
しかし、市販されているカルスNC-Rや菌力アップのような複合微生物資材を家庭で安定的に培養するのは、極めて困難です。これらの製品は、多種多様な微生物が絶妙なバランスで配合されていることが効果の源泉となっています。
家庭での培養では、環境に適応しやすい特定の菌だけが優勢になり、本来のバランスが崩れてしまう可能性が非常に高いです。バランスが崩れた資材を使っても、期待した効果が得られないばかりか、逆に特定の菌が偏ることで土壌環境を損なうリスクも否定できません。したがって、製品が持つ効果を最大限に引き出すためには、品質管理された新しい製品を使用することが最も確実な方法と言えます。
カルスNC-Rを増やすにはどうする?
「カルスNC-Rそのものを培養して増やせないか」という疑問も、自作のテーマと関連してよく聞かれます。しかし、前述の通り、製品に含まれる多様な微生物のバランスを維持したまま増やすことは専門的な設備や技術がなければ非常に難しいのが現実です。
カルスNC-Rに含まれる納豆菌(枯草菌)などは比較的強い菌ですが、それ以外の多様な微生物群も効果を発揮するための重要な構成要素です。安易な培養は、この緻密なバランスを崩壊させ、製品本来の性能を失わせる原因となります。
もし、土壌全体の微生物を増やしたい、活性化させたいという目的であれば、「カルスNC-Rを増やす」という発想ではなく、微生物のエサとなる良質な有機物(堆肥、米ぬか、もみ殻など)を土壌に投入することが有効です。土壌中の微生物は、栄養分があれば自然に増殖します。微生物資材はあくまでその「起爆剤」や「環境改善のきっかけ」として捉え、土壌の基本的な力を高めるアプローチを併用することが大切です。
微生物資材に共通するデメリットとは
微生物資材は土づくりにおいて非常に有効ですが、万能薬ではなく、いくつかの共通した注意点、いわばデメリットが存在します。これを理解せずに使用すると、期待した効果が得られないことがあります。
第一に、微生物も生き物であるため、活動には「エサ」と「快適な環境」が必要です。微生物のエサとなる有機物が乏しい土壌や、極端に乾燥または過湿な土壌、地温が低すぎる環境(約10℃以下)では、どれだけ優れた資材を投入しても微生物は十分に活動できません。
第二に、効果が実感できるまでにはある程度の時間がかかる点です。化学肥料のように即効性があるわけではなく、微生物が土壌に定着し、有機物を分解し、土壌構造を改善していくには物理的な時間が必要です。継続的な使用が効果発揮の鍵となります。
そして、農薬との併用には注意が求められます。特に土壌消毒剤は、有用微生物まで殺してしまうため、併用する場合は使用時期をずらすなどの工夫が不可欠です。これらの点を理解し、微生物が働きやすい環境を整えてあげることが、資材の効果を最大限に引き出すことにつながります。
カルスNC-Rの類似品なら菌力アップを推奨

- 結論はサンビオテックの菌力アップ
- 菌力アップは好気性菌が主体
- 圧倒的な微生物量とその効果
- カルスNC-Rとの併用も可能
- 目的別カルスNC-R類似品の選び方
結論はサンビオテックの菌力アップ
入手困難なカルスNC-Rの類似品を探しているなら、最も有力な選択肢としてサンビオテックの「菌力アップ」が挙げられます。この製品は、カルスNC-Rと同様に土壌の微生物環境を改善することを目的としていますが、そのアプローチと特長に独自性があり、多くの場面でカルスNC-Rの代替、あるいはそれ以上の効果を期待できます。
菌力アップは、約250種類という圧倒的に多様な好気性土壌微生物を配合している点が最大の特徴です。これにより、様々な土壌環境に適応し、安定した効果を発揮します。有機物の分解はもちろん、土の団粒構造化の促進や、植物の健全な発根を促すことで、連作障害に強い土づくりに貢献します。
以下の表は、両者の主な違いをまとめたものです。
特徴 | カルスNC-R | 菌力アップ |
---|---|---|
主な微生物 | 枯草菌(納豆菌の仲間)など | 放線菌、酵母菌、光合成細菌など約250種の好気性菌 |
主な役割 | 生の有機物の強力な分解・堆肥化 | 土壌微生物相の改善、団粒構造化、発根促進 |
形状 | 粒状・粉状 | 液体 |
使い方 | 土壌にすき込む | 水で希釈して潅水・散布 |
有機JAS | -(情報なし) | 使用可能 |
このように、菌力アップは液体で扱いやすく、有機JAS圃場でも使用できるというメリットがあります。これらの理由から、カルスNC-Rの代替品としてまず検討すべき資材と言えるでしょう。
菌力アップは好気性菌が主体
菌力アップが持つパワーの源泉は、その構成微生物の主体が「好気性菌」である点にあります。好気性菌とは、活動するために酸素を必要とする微生物の総称です。
一般的に、酸素を利用する好気性菌は、酸素を必要としない嫌気性菌に比べて、エネルギーの利用効率が格段に高く、有機物を分解する力や増殖するスピードが非常に速いという特長を持っています。身近な例で言えば、酸素をたくさん送り込みながら行う堆肥づくりは、この好気性菌の力を利用したものです。
菌力アップは、このパワフルな好気性菌を約250種類もバランス良く配合しているため、土壌に投入されると短期間で活発に活動を開始します。これにより、土壌中の有機物の分解を速やかに進め、土がフカフカになる団粒構造化を強力に促進できるのです。この働きが、水はけと水持ち、肥料持ちの良い、植物にとって理想的な土壌環境をスピーディーに実現する鍵となっています。
圧倒的な微生物量とその効果

菌力アップのもう一つの大きな特長は、他の微生物資材と比べても類を見ない、約250種類という「微生物の多様性」です。自然界の豊かな土壌には、多種多様な微生物が生息し、それぞれが異なる役割を担いながら生態系のバランスを保っています。
単一、あるいは数種類の菌しか含まない資材の場合、特定の環境や土壌条件でしか効果を発揮しにくいことがあります。しかし、菌力アップのように多種多様な微生物がチームを組んでいれば、ハウスや露地、畑や果樹園といった、あらゆる圃場の様々な環境に適応しやすくなります。
多様な微生物がもたらす相乗効果
菌力アップには、空気中の窒素を固定するアゾトバクターや根粒菌、土壌病害の抑制に関わる放線菌、植物の成長を促すPGPR(植物成長促進根圏微生物)など、多岐にわたる役割を持つ菌が含まれています。
これらの微生物群が土壌中で連携して働くことで、単に有機物を分解するだけでなく、土壌の物理性や生物性を総合的に改善します。結果として、病害虫に強い健康な土壌環境が作られ、作物の発根が促進されることで、品質や収量の向上に繋がるのです。
カルスNC-Rとの併用も可能

カルスNC-Rの類似品として菌力アップを推奨していますが、両者は敵対するものではなく、目的によっては「併用」することで、さらなる相乗効果を期待できます。それぞれの得意分野を活かした使い方を考えると良いでしょう。
例えば、土づくりの初期段階で、大量の作物残渣や緑肥、未熟な堆肥などの生の有機物をすき込む際には、有機物分解のスペシャリストである「カルスNC-R」が非常に効果的です。まずカルスNC-Rで粗大な有機物を強力に分解させます。
その後、作付けから生育期間中にかけて、液体で扱いやすい「菌力アップ」を定期的に潅水することで、土壌全体の微生物バランスを良好に保ち、根圏環境を活性化させて健全な生育をサポートするという使い分けが考えられます。
このように、カルスNC-Rを「土づくりのスターター」として、菌力アップを「生育期間中の土壌コンディショナー」として活用することで、それぞれの長所を最大限に引き出し、より理想的な土壌環境を構築することが可能になります。
目的別カルスNC-R類似品の選び方
この記事の要点を踏まえ、カルスNC-Rの類似品や代替品をどのように選ぶべきか、目的別にまとめます。
- 生の有機物を強力に分解したい場合 カルスNC-Rは生の有機物(刈り草、残渣など)を直接土にすき込んで分解する力に優れています。もし入手できるなら、この目的には最適です。
- 土壌全体の環境を総合的に改善したい場合 菌力アップがおすすめです。約250種の多様な好気性菌が土壌の団粒化を促進し、発根を助け、土壌の微生物相を豊かにします。液体なので追肥のように手軽に使えるのも利点です。
- 連作障害や病害が気になる場合 菌力アップは、多様な微生物の力で土壌の菌叢バランスを整え、特定の病原菌が優勢になるのを防ぐ効果が期待できます。連作障害対策の基本となる土壌環境の改善に役立ちます。
- 有機JAS認証の圃場で使用したい場合 菌力アップは有機JAS認証圃場での使用が認められています。化学的な処理を含まずに製造されているため、認証を目指す方や、より安全な資材を求める方に適しています。
- コストパフォーマンスを重視する場合 菌力アップは製造ロットを大きくすることで、液肥感覚で使える低価格を実現しています。継続的な土壌管理において、コストを抑えながら高い効果を期待できる選択肢です。
- 手軽さを求める場合 粒状で土に混ぜ込むカルスNC-Rに対し、菌力アップは水で希釈してジョウロや潅水チューブで散布できるため、栽培中の作物にも手軽に使用できます。
- カルスNC-Rの在庫がある場合 前述の通り、カルスNC-Rで土づくりの初期段階を担い、その後の管理を菌力アップで行うという併用が、それぞれの資材の長所を活かす理想的な使い方の一つと考えられます。
- EM1やAG土力、ラクトヒロックスなどの他の資材 これらもそれぞれに特徴を持つ優れた資材です。EM1は嫌気性菌が主体、AG土力はミネラル補給と線虫対策、ラクトヒロックスはカルスNC-Rに近い効果が期待できますが価格帯などを比較検討する必要があります。
- 自作や培養について 複合微生物資材の家庭での培養は、菌のバランスが崩れるリスクが高いため推奨されません。安定した効果を求めるなら、品質管理された市販品を利用するのが賢明です。
- 微生物資材の基本 どの資材を使うにしても、微生物のエサとなる有機物の投入と、適度な水分・温度管理が効果を最大限に引き出すための基本となります。
- 品薄の現状 カルスNC-Rは人気のため依然として入手が難しく、代替品への需要は高いままです。
- 発酵と腐敗の違い 微生物の働きが人間にとって有益なものが発酵、望まないものが腐敗です。良い土づくりは、腐敗ではなく発酵を促すことに他なりません。
- 土壌消毒後のケア 農薬などで土壌消毒を行った後は、有用微生物も死滅しています。このような状態の土壌を再生させるために、微生物資材の投入は非常に効果的です。
- 好気性菌のメリット 菌力アップの主成分である好気性菌は、活動効率が良く、有機物分解や増殖のスピードが速いのが大きな利点です。
- 最終的な判断 最終的には、ご自身の圃場の課題(排水性、連作障害など)や栽培スタイル(有機、慣行)、そして最も重要な「どのような土を目指すか」という目的を明確にして、資材を選択することが成功への近道です。
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