キャベツは年間を通じて栽培できる人気の葉野菜ですが植える時期を間違えると、うまく結球せず収穫できないこともあります。
この記事では、季節ごとの種まきタイミングや育て方のコツをわかりやすく解説し、よくある失敗を避けるためのポイントも紹介します。
春まきや秋まきなどの適期を知ることで、初心者の方でもおいしいキャベツをしっかり育てることができるようになります。これからキャベツ栽培を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
キャベツを植える時期はいつが最適?

- 春キャベツの種まき時期の目安とは
- 秋キャベツの種まき時期と植え付けの注意点
- キャベツ苗の植え方 間隔の基本
- キャベツの育て方 プランター栽培のコツ
春キャベツの種まき時期の目安とは
春キャベツの種まき時期は、一般的に2月下旬から3月中旬が目安とされています。これは、キャベツの発芽適温である15〜30℃を確保できるタイミングに合わせているためです。
この時期に種をまくことで、6月上旬〜7月中旬の梅雨入り前に収穫する「夏秋キャベツ」として育てることができます。ただし、春まきは比較的難易度が高めです。というのも、気温の変動が大きい季節であり、苗が寒さにあたって成長が遅れたり、逆に急激に暖かくなって徒長したりするリスクがあるためです。
例えば、春先の寒さが続く地域では、加温できるビニールハウスや保温資材を活用する必要があります。温度管理を怠ると、発芽率が下がったり苗が育たなかったりすることもあるため、育苗環境は非常に重要です。
なお、春キャベツの特徴として、葉がやわらかくみずみずしい点が挙げられます。この食感を楽しむためには、定植から収穫までの水やりや肥料管理も丁寧に行いましょう。
いずれにしても、春キャベツの栽培は、気温や育苗環境に対する対策がしっかりできる人向けです。初心者の場合は、後述する秋まきから始める方が育てやすいかもしれません。
秋キャベツの種まき時期と植え付けの注意点

秋キャベツの種まきは、10月初旬から11月下旬が目安です。栽培の目的は、春に収穫する「春キャベツ」を育てることであり、冬を越して生長させる必要があります。
この時期にまくことで、寒さに耐えつつ、春になると新しい葉を一気に展開し、甘くてやわらかい春キャベツに育てられます。ただし、秋まきには特有の注意点がいくつかあります。
まず最も重要なのが「とう立ち」の防止です。とう立ちとは、結球前に花芽ができてしまい、葉が巻かなくなる現象です。気温が下がるタイミングと苗のサイズが影響するため、早まきや苗の育てすぎには注意が必要です。理想としては、本葉が4〜5枚のやや小ぶりな苗で冬に入るのが適切です。
また、寒さ対策も不可欠です。寒冷地や霜の多い地域では、不織布のトンネルや防寒カバーで覆うことで冬越しが成功しやすくなります。これにより苗の根や葉が凍結するのを防ぎます。
例えば、11月中旬に定植した苗に不織布をかけて育てた場合、春先まで順調に生育し、4月下旬から5月中旬にかけて美味しいキャベツが収穫できることが多く見られます。
このように、秋まきは管理のポイントを押さえれば、初心者でも比較的育てやすい方法です。手間をかけた分だけ、春にはみずみずしく甘みのあるキャベツが楽しめるでしょう。
キャベツ苗の植え方 間隔の基本
キャベツを植えるときの苗の間隔は30〜45cmが基本です。この距離を確保することで、株同士が葉を広げながら健やかに育ち、しっかりとした結球が期待できます。
なぜこの間隔が必要かというと、キャベツは外葉が大きく広がりやすく、株間が狭すぎると光合成が十分に行えず、生育が悪くなるためです。さらに、通気性が悪くなることで病気の原因にもなりかねません。
例えば、早生品種の場合は30〜35cm、中晩生品種は40〜45cmが目安です。生育期間が長く、葉が大きく育つタイプほど広めに間隔をとることが重要になります。
また、定植の際は「浅植え」が基本です。根鉢の上面が地表と同じ高さになるように植え、深植えを避けるようにしてください。深く植えすぎると茎が地中で腐りやすくなり、生長が妨げられます。
水やりの後、根元を軽く押さえて苗を安定させておくと、初期の活着がスムーズです。さらに、植え付け後は防虫ネットを設置することで害虫の侵入を防ぎ、育成環境を整えられます。
このように、適切な間隔と植え方を守ることが、健康なキャベツ作りの第一歩となります。
キャベツの育て方 プランター栽培のコツ
キャベツは地植えが主流と思われがちですが、深さと幅のあるプランターでも十分に栽培が可能です。ポイントは、環境づくりと管理を丁寧に行うことです。
まず、使用するプランターのサイズが重要です。最低でも幅65cm・深さ20〜30cm以上の大型タイプを選びましょう。1株あたりのスペースを30cm以上とる必要があるため、小型プランターでは1株しか植えられないこともあります。
次に、土づくりにも注意が必要です。市販の野菜用培養土を使用するのが手軽ですが、自作する場合は赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合が推奨されます。植え付け前に苦土石灰でpHを調整し、弱酸性〜中性の環境に整えてください。
また、水やりにもコツがあります。過湿に弱いため、土が乾いたタイミングで朝に水を与えるのが理想的です。特に結球期に多湿になると、玉が割れてしまうことがあるので、水の量は控えめを意識しましょう。
追肥も大切です。定植から2〜3週間後と、結球前のタイミングで化成肥料を与えます。肥料が不足すると、結球不良や葉の色が薄くなることがあります。
最後に、害虫対策として防虫ネットや寒冷紗をプランター全体にかけると安心です。特にベランダなど開けた場所では、蝶が卵を産みやすいため注意が必要です。
このように、プランターであっても栽培環境をきちんと整えれば、畑に劣らない品質のキャベツを育てることができます。
地域や季節で異なるキャベツを植える時期

- 初心者におすすめの時期
- 冬越しのポイント
- 失敗を防ぐ温度管理
- 夏に植えるキャベツの注意点とは
- 品種別に見る植え付けスケジュール
- 適切な追肥と水やりのタイミング
- キャベツを植える時期の基本と栽培のポイントまとめ
初心者におすすめの時期
キャベツ栽培が初めての方には、**秋まき(10月初旬〜11月下旬)**が特におすすめです。気温が下がり始め、害虫の活動が落ち着く時期のため、病害虫によるトラブルが少なく管理がしやすいというメリットがあります。
多くの初心者が春まきを選びたくなるかもしれませんが、春先は気温が不安定で育苗に手間がかかります。その点、秋まきなら育苗時の温度が安定しているうえ、外での育成にも向いており、屋外で管理しやすくなります。
例えば、10月に種まきし、11月に植えつけた苗は、寒さに耐えながら冬を越し、翌年の4〜5月に収穫期を迎えます。この時期のキャベツは、みずみずしく柔らかい葉に仕上がるのが特徴です。
ただし、寒さが厳しい地域では、霜によるダメージや成長の遅れが起こる可能性もあります。その場合は不織布などを使った簡易トンネルで保温するなど、少しの工夫が必要です。
初めてのキャベツ栽培では、病害虫が少なく育てやすい秋まきから挑戦すると、成功体験を得やすくなります。
冬越しのポイント

キャベツを秋まきで栽培する場合、冬越し対策が収穫の成否を左右する重要な工程になります。とくに気温が0℃を下回る地域では、しっかりした準備が必要です。
冬越しでまず大切なのは、苗の大きさです。苗が大きくなりすぎてから寒さにあたると、「とう立ち」しやすくなり、葉が結球する前に花芽ができてしまうおそれがあります。このため、本葉4〜5枚の小ぶりな苗で冬を迎えることが理想です。
さらに、寒風や霜から苗を守るために、防寒対策を施しましょう。最も簡単で効果的なのは、不織布や寒冷紗を使ってトンネル状に覆う方法です。1.2〜1.5m間隔で支柱を立て、全体を包むように被せるだけで、温度が安定しやすくなります。
また、冬場は水やりを控えめにします。地温が下がるこの時期に水を与えすぎると、根が傷みやすくなります。土がしっかり乾いてから様子を見て与える程度で十分です。
このように、苗のサイズ調整、防寒資材の使用、水分管理の3点を意識すれば、冬越し後も元気なキャベツに育ちます。春の収穫が楽しみになるような状態をキープするには、寒さとの付き合い方がカギになります。
失敗を防ぐ温度管理
キャベツ栽培での失敗の多くは、温度管理の不足に起因しています。キャベツは冷涼な気候を好み、15〜20℃前後が生育に最も適した温度帯です。
育苗時に注意すべきなのは、発芽には15〜30℃が必要である点です。このため、春まきの場合はまだ寒い時期に種をまくことになり、保温が必須です。ビニールトンネルや温床マットを活用して発芽を促し、その後の徒長を防ぐためには、適度な換気と日照も欠かせません。
一方で、夏まきでは逆に高温が問題になります。35℃を超える環境では発芽率が落ちたり、苗が弱ったりすることがあります。このような場合は、寒冷紗で直射日光を遮る、または明け方や夕方の涼しい時間帯に作業するなど、工夫が必要です。
例えば、夏の気温が高い地域では、ポットやセルトレイを半日陰に置き、風通しを良くするだけでも苗の状態が改善します。また、夜間の気温が下がる時間帯を利用して冷気を取り込む工夫も有効です。
キャベツは比較的寒さには強いものの、結球を始める時期に急激な冷え込みに遭うと球が割れたり生育が止まることもあります。このため、春先や晩秋は最低気温にも目を向け、必要であれば簡易な保温資材で防寒しましょう。
気温の変化に柔軟に対応し、育苗から収穫まで安定した環境を維持することが、キャベツ栽培成功への近道です。
夏に植えるキャベツの注意点とは

夏にキャベツを植える場合は、高温対策が栽培のカギになります。真夏の気温が28℃を超えると、生育が鈍り、病害虫のリスクも大幅に高まるため、注意が必要です。
まず、直射日光を避ける工夫が欠かせません。植え付け直後は、苗がまだ根付いていないため強い日差しにさらされると葉が焼けて枯れることがあります。寒冷紗やよしずなどを使って日射を遮ることで、苗へのダメージを軽減できます。
次に、水やりについても配慮が必要です。高温期は蒸散量が多く、乾燥しやすいため水を欲しがる反面、与えすぎれば根腐れの原因にもなります。早朝か夕方の涼しい時間帯に、土の表面が乾いていることを確認してから水やりを行うとバランスがとれます。
さらに、害虫の発生が最も多いのもこの時期です。特にアオムシやヨトウムシ、コナガなどは一気に繁殖するため、防虫ネットの使用やこまめな葉の点検が欠かせません。殺虫剤に頼らずに育てたい場合は、早めの予防策が重要です。
例えば、8月上旬に植えた苗には、植え付け前から防虫ネットをかけておくと、成長期に入ってからの害虫被害を大幅に軽減できます。ネットの裾をしっかり地面に固定し、隙間ができないようにするのがポイントです。
このように、夏植えキャベツは特有のリスクがある反面、育苗期間が短く、11〜12月には収穫が可能です。環境管理さえできれば、十分に育てられる作型と言えるでしょう。
品種別に見る植え付けスケジュール
キャベツは品種によって適した植え付け時期が異なります。「早生(わせ)」「中生(なかて)」「晩生(おくて)」の3つのタイプに分かれており、それぞれの生育期間や特性に応じたスケジュールで管理することが必要です。
早生品種は、生育が早く収穫までの日数が短いため、春や夏に植えて初夏や秋に収穫するのに向いています。例えば「サトウくん」などの早生種は、播種から収穫まで約75〜90日と比較的短期間で育ちます。春まきなら2月下旬〜3月中旬に種をまき、5〜6月には収穫が可能です。
中生品種は、春から夏、または夏から秋にかけて育てることができます。例えば「彩風」は春まきで6月以降に収穫が可能な中生タイプです。定植から約70〜75日で収穫できるため、収穫期をコントロールしやすいのが特徴です。
晩生品種は栽培期間が長く、主に秋まきで冬を越して春に収穫する栽培に向いています。「春波」のような極早生の春キャベツもこのグループに含まれ、10〜11月に種をまいて冬越しさせることで、4〜5月に甘くてやわらかいキャベツが収穫できます。
このように、品種ごとの特徴を理解し、植え付けや収穫のタイミングを調整することで、通年でキャベツを楽しむことも可能です。カレンダーに合わせて育てることで、畑やプランターの管理もしやすくなります。
適切な追肥と水やりのタイミング

キャベツの健全な生育には、成長段階に合わせた追肥と水やりの管理が欠かせません。タイミングを間違えると、結球しなかったり、逆に球が割れるなどの失敗につながります。
まず追肥ですが、一般的には2回が基本です。1回目は定植後2〜3週間後、根が活着して葉が育ち始める頃に行います。2回目は結球が始まる前、外葉が大きく広がってきた段階が適しています。肥料は窒素・リン酸・カリがバランス良く含まれた化成肥料が使いやすく、1平方メートルあたり約50gが目安です。
特に注意したいのは、結球が進んでからの追肥は避けることです。過剰な肥料分は裂球や腐敗の原因となるため、生育段階を見極めて施すことが重要です。
次に水やりについてですが、キャベツは乾燥にも過湿にも弱いため、水分管理が難しい野菜です。定植直後の数日はたっぷりと水を与え、その後は土の表面が乾いてきたら朝に水やりを行う程度で構いません。
結球期に入ったら水分をやや控えめにすると、球が締まりやすくなり、品質の良いキャベツに仕上がります。一方で、土が乾きすぎると葉が固くなることがあるため、天候に応じて調整しましょう。
このように、追肥と水やりは「量」だけでなく「タイミング」が非常に重要です。育ち方を観察しながら、必要なときに必要なだけを与えることで、安定したキャベツの収穫につながります。
キャベツを植える時期の基本と栽培のポイントまとめ
- 春キャベツの種まきは2月下旬〜3月中旬が適期
- 秋キャベツは10月初旬〜11月下旬に種をまく
- 発芽には15〜30℃の気温が必要で温度管理が重要
- 春まきは気温変動が大きく栽培の難易度が高め
- 秋まきは害虫が少なく初心者に向いている
- キャベツ苗の植え付け間隔は30〜45cmを確保する
- 早生品種は30〜35cm、中晩生は40〜45cmが目安
- 根鉢は浅く植え、深植えは避ける
- プランターは幅65cm・深さ20cm以上の大型を使う
- プランター栽培では日当たりと水はけの良さが重要
- 追肥は定植後2〜3週間と結球前の2回が基本
- 水やりは朝に行い、過湿を避ける
- 結球期の過剰な水やりは裂球の原因になる
- 夏植えは直射日光と高温に注意が必要
- 防虫ネットで害虫の侵入を防ぎやすくなる