家庭菜園で玉葱を育てようと思ったとき、まず最初にぶつかる壁が「植え付け時期」の悩みではないでしょうか。
北海道や東北などの寒冷地と、関東や関西などの中間地では、適したタイミングがまるで違いますし、ネットで調べても情報が多すぎて「結局、自分の住んでいる地域ではいつ植えればいいの?」と迷ってしまうことも多いはずです。うっかり時期を逃して12月に入ってしまい、「もう手遅れかな…」と焦った経験があるのは、私だけではないはずです。
実は私も、過去に苗の選び方で失敗したり、植え付けの深さが分からずに霜で苗が浮き上がってしまったりと、数え切れないほどの失敗を重ねてきました。
でも、そうした経験の中で、玉葱栽培の成功は「植え付けのタイミング」と「土作りや肥料の準備」で9割が決まるということを学びました。この記事では、私が実際の畑で試行錯誤してたどり着いた、中間地における玉葱栽培の成功法則を、初心者の方にも分かりやすくお伝えします。
- 関東や関西など中間地における最適な植え付けカレンダーと気温の指標
- 12月に作業がずれ込んでしまった場合の具体的なリカバリー策と注意点
- トウ立ちや枯死を防ぐための「鉛筆サイズ」の苗選びと見極め方
- 植え付けの間隔や深さ、マルチ活用など成功率を格段に上げる実践テクニック
関東から関西の玉葱の植え付け時期

玉葱栽培において、植え付けのタイミングは単なる目安ではなく、収穫の成否を分ける「絶対的なルール」に近いものがあります。早すぎると春にトウ立ちして芯が硬くなり、遅すぎると冬の寒さに耐えられず枯れてしまうリスクが高まります。ここでは、多くの家庭菜園ユーザーが該当する関東から関西エリア、いわゆる「中間地」に絞って、ベストな時期を深掘りしていきますね。
中間地で最適な植え付けカレンダー
関東や東海、近畿、中国、四国といった中間地において、玉葱の植え付けに最も適した時期は、ズバリ11月中旬から11月下旬です。カレンダーの日付で言うと、だいたい11月15日から11月25日あたりが「黄金の10日間」と言えるでしょう。
なぜこの時期なのか、少し詳しく解説しますね。玉葱の苗は、植え付けてすぐに休眠するわけではありません。本格的な冬の寒さがやってきて霜が降りる前に、新しい根を土の中にしっかりと伸ばし、地面に「活着(かっちゃく)」させる必要があるからです。この活着に必要な期間が、植え付けからおよそ1ヶ月間です。つまり、12月中旬頃に本格的な寒波が来ることを逆算すると、11月中旬には植えておきたいのです。
私は以前、「少しでも早く植えた方が大きく育つだろう」と勘違いして、11月上旬(文化の日あたり)に植えてしまったことがあります。その結果どうなったかというと、年内に苗が大きく育ちすぎてしまい、春になってから見事に「トウ立ち(ネギ坊主ができること)」してしまいました。逆に、12月に入ってから植えた年は、根が張る前に霜柱で苗が持ち上げられ、枯れてしまったこともあります。
もちろん、その年の気候によって多少の前後はありますが、まずは「11月の後半」を手帳に書き込んで、そこに向けて準備を進めるのが成功への第一歩です。ホームセンターに苗が並び始めるのはもう少し早い時期ですが、焦って早く植えすぎない心の余裕も大切ですよ。
ここがポイント
「早植えはトウ立ちのもと、遅植えは枯死のもと」。11月23日の勤労感謝の日前後を目安に作業を行うと、中間地では失敗が少ない傾向にあります。
植え付けが12月に遅れる場合の対策
仕事が忙しかったり、週末のたびに雨が降ったりして、気づけばカレンダーは12月。「もう今年は諦めるしかないのかな…」と肩を落とす必要はありません。正直なところ、12月の植え付けは適期に比べるとリスクが高まりますが、適切な対策を講じれば十分に挽回可能です。
12月に植え付ける場合、最大の問題は「地温の低さ」です。玉葱の根は、地温が4℃〜5℃を下回るとほとんど伸びなくなると言われています。そのため、12月に入ってからの植え付けでは、いかにして地温を確保し、寒風から苗を守るかが勝負になります。
具体的なリカバリー策として、私が実践して効果があった方法をいくつかご紹介します。
- 穴あき黒マルチの利用を徹底する: 露地植え(マルチなし)は避けましょう。黒マルチは太陽熱を吸収して地温を2〜3℃高める効果があり、このわずかな差が根の伸長を助けます。
- 不織布や寒冷紗でトンネルを作る: 畝の上にトンネル支柱を立てて不織布をかけるか、あるいは「ベタがけ」といって、苗の上に直接ふんわりと不織布を被せるだけでも、霜除けや防風効果は絶大です。
- 晩生(おくて)品種を選ぶ: 早生種よりも晩生種の方が耐寒性が強い傾向にあります。もし品種を選べるなら、「もみじ3号」や「ネオアース」といった貯蔵性の高い晩生種を選ぶのが無難です。
- 鎮圧を強めにする: 植え付けた後、通常よりも少し強めに株元の土を指で押さえます。これは、霜柱ができたときに苗が浮き上がるのを物理的に防ぐためです。
ただし、12月中旬を過ぎて年末に近づくと、さすがに厳しくなります。その場合は、無理に植えずに春(2月下旬〜3月)に「春植え」として苗が出回るのを待つか、ホームセンター苗ではなく種苗店で相談してみるのも一つの手ですね。
注意点
12月植えの場合、冬越しの間に葉が枯れてしまうことがありますが、根が生きていれば春に復活します。諦めずに春まで様子を見てあげてください。
早生や晩生など品種ごとの時期
ホームセンターで「玉葱の苗」として売られている束をよく見ると、「早生(わせ)」「中生(なかて)」「晩生(おくて)」といったラベルが貼られていますよね。これらは収穫時期の違いだけでなく、実は植え付けに適したタイミングも微妙に異なります。ここを意識して使い分けるようになると、家庭菜園が一気に楽しくなります。
まず「早生・極早生」品種ですが、これは新玉ねぎとして3月〜4月の早い時期に収穫できるタイプです。このタイプは、春の早い段階で球を太らせる必要があるため、冬に入る前にある程度の大きさまで株を育てておく必要があります。そのため、植え付け時期は適期の中でも前半(11月中旬頃)を狙うのがおすすめです。遅れると、十分な葉数を確保できないまま春を迎えてしまい、小ぶりな玉ねぎになってしまいます。
一方、「中生・晩生」品種は、5月〜6月に収穫し、乾燥させて長期保存するのに向いているタイプです。こちらは冬の寒さにじっくり耐えて、春の暖かさと共に成長します。そのため、植え付け時期は適期〜やや遅め(11月下旬〜12月上旬)でも比較的許容範囲が広いです。むしろ、晩生種を早く植えすぎると、冬の間に育ちすぎてトウ立ちするリスクが高まるので注意が必要です。
| 品種タイプ | 収穫時期の目安 | 植え付けのコツ | 代表的な品種例 |
|---|---|---|---|
| 極早生・早生 | 3月下旬〜4月 | 寒くなる前に株を確保するため、やや早めに植える。 | ソニック、春のきらめき、貴錦など |
| 中生・中晩生 | 5月〜6月上旬 | 適期を守る。最も作りやすく失敗が少ない。 | O・P黄、ターザン、アトンなど |
| 晩生(おくて) | 6月中旬〜下旬 | 焦らず11月下旬でもOK。長期保存を目指すならこれ。 | もみじ3号、ネオアースなど |
私は毎年、サラダ用に早生を少し早めに植え、カレーや煮込み料理の保存用に晩生をじっくり植えるという「二段構え」で栽培しています。こうすると、春から初夏にかけて長く収穫を楽しめるのでおすすめですよ。
気温を目安にする植え付け判断
ここまでカレンダーの日付を中心にお話ししてきましたが、近年は温暖化の影響で11月でも汗ばむような陽気が続くことがあります。そんな時にカレンダー通りに植えてしまうと、失敗の元になりかねません。そこで重要になるのが、植物の生理に基づいた「気温」という指標です。
玉葱の植え付けに適した気温の目安は、平均気温が15℃から7℃に向かって下がっていく時期とされています。特に重要なのが「平均気温が10℃を下回る時期がいつ来るか」という読みです。
植物には、一定の大きさになった状態で寒さに当たると花芽(トウ立ちの元)を作る性質があります。これを「春化(バーナリゼーション)」と呼びます。もし気温が高い時期(15℃以上)に植えてしまうと、年内に苗がぐんぐん成長してしまいます。大きな苗の状態で真冬の寒さに当たると、玉葱は「あ、もう子孫を残さなきゃ(花を咲かせなきゃ)」と勘違いしてしまい、春にネギ坊主ができてしまうのです。
逆に、気温が低すぎると、今度は根が活動できずに活着不良を起こします。この絶妙なバランスが「平均気温15℃〜7℃」というわけです。最近はスマホの天気予報アプリで手軽に週間平均気温を確認できますから、私はいつも「来週あたりからグッと冷え込みそうだな」というタイミングを見計らって植え付け日を決めています。
温暖化の影響を考慮する
昔の園芸本には「11月上旬」と書かれていることがありますが、最近の気候では少し早いと感じることが多いです。地域の気象データを確認し、昔よりも「1週間〜10日遅らせる」くらいの感覚が、現代の中間地には合っているかもしれません。
成功率を上げる玉葱の植え付け時期と手順

植え付けの時期が決まったら、次はいよいよ実践編です。実は、玉葱栽培で失敗する原因の多くは、「苗の選び方」と「植え方」のちょっとしたミスにあります。ここでは、私がプロの農家さんから教わったり、自分で痛い目を見ながら学んだりした、成功率を確実に上げるための具体的な手順とテクニックを詳しく解説していきます。
失敗しない玉葱の苗の選び方
ホームセンターや園芸店に玉葱苗が並び始めると、ついつい「早く買わないと売り切れる!」と焦ってしまいがちです。でも、ここで一旦落ち着いて、苗の状態をしっかりとチェックしてください。良い苗を選ぶことは、良い玉葱を作るための半分を占めると言っても過言ではありません。
まず見るべきポイントは「葉の色」と「病気の有無」です。葉が濃い緑色をしていて、ピンと立っているものが健康な証拠です。逆に、全体的に黄色っぽかったり、葉先が枯れ込んでいたりするものは避けた方が無難です。また、葉に白い斑点や変な模様がないかも確認しましょう。これは病気や害虫のサインかもしれません。
次に「根の状態」です。束ねられている苗の根元を見て、根が白くて瑞々しいものがベストです。古い苗だと、根が茶色く乾燥してカピカピになっていることがあります。こうした苗は植え付けてからの吸水力が弱く、活着までに時間がかかってしまいます。もし購入した苗の根が乾いてしまっている場合は、植え付ける前に一晩バケツの水につけて吸水させてあげると、復活することがありますよ。
そして、最も重要なのが次にお話しする「苗の大きさ(太さ)」です。ここだけは絶対に妥協してはいけません。
鉛筆サイズが良い玉葱の苗の大きさ
「玉葱の苗は、太ければ太いほど立派で良い」と思っていませんか?実はこれ、玉葱栽培においては大きな間違いなんです。苗選びの黄金ルールは、ズバリ「鉛筆の太さ(直径6〜7mm)」の苗を選ぶことです。
なぜこのサイズが重要なのか、理由は2つあります。
1つ目は、先ほど触れた「トウ立ち」のリスクです。玉葱には、「茎の直径が10mm(1cm)を超えた状態で低温に遭遇すると花芽分化する」という性質があります。もし、植え付け時点で8mm以上の太い苗を選んでしまうと、冬の間にさらに成長して10mmを超えやすくなり、春に確実にネギ坊主ができてしまいます。トウ立ちした玉葱は芯が硬くなり、食味も保存性も著しく落ちてしまいます。
2つ目は、逆に「細すぎる苗」のリスクです。直径が4〜5mm以下の細い苗は、体力がなく寒さに耐えられません。また、根の張りも弱いため、冬場に土が凍って溶ける現象(霜柱)が起きると、苗ごと地面から押し出されてしまい、気づいたら枯れていた…ということが多発します。
この「太すぎず、細すぎず」の絶妙なラインが、まさに鉛筆サイズなのです。もし購入した束の中に太い苗や細い苗が混ざっていたら、私はもったいないですが選別しています。太い苗は葉玉ねぎとして春先に早めに食べる用に別の場所に植え、細い苗は2本まとめて植えるか、予備としてプランターに植えておくなどの工夫をしています。
(出典:タキイ種苗『タマネギ栽培マニュアル』 https://www.takii.co.jp/tsk/manual/tamanegi.html)
最適な玉葱の植え付け間隔と深さ
良い苗が手に入ったら、いよいよ植え付けです。ここでのポイントは「株間(かぶま)」と「深さ」です。適当に植えてしまうと、収穫時の玉の大きさや形にバラつきが出てしまいます。
株間について:
基本は12cm〜15cmの間隔で植え付けます。私の経験では、大きなLサイズの玉葱を狙うなら15cm、Mサイズで数を多く収穫したいなら12cmが目安です。家庭菜園では、市販の「穴あきマルチ(9515など、95cm幅で15cm間隔の穴が開いているもの)」を使うのが一番簡単で確実です。これなら自分で測る必要がありません。
植え付けの深さについて:
深さは2cm〜3cmが理想です。目安としては、苗の白い部分が少し土から顔を出している程度。緑色の分岐部分(葉が分かれているところ)まで土に埋めてしまうと、腐りやすくなったり、縦長の変な形の玉葱になったりします。逆に浅すぎると、風で倒れたり霜で浮き上がったりします。
そして、私が最も声を大にして言いたいコツが、「植え付け後の鎮圧」です。苗を穴に入れた後、指で周りの土をギュッギュッとしっかり押さえて、根と土を密着させてください。「少し強すぎるかな?」と思うくらいで丁度良いです。ふわふわの土のままだと、根が乾燥して枯れる原因になります。
重要な肥料と玉葱の土作り時期
玉葱は栽培期間が半年以上と長いため、肥料切れを起こさないような土作りが重要です。しかし、タイミングを間違えると逆効果になってしまうことがあります。
まず、土作りのスケジュールですが、植え付けの2週間前以上には「苦土石灰」をまいて耕しておきましょう。日本の土壌は酸性になりがちですが、玉葱は酸性を嫌います。石灰で酸度を調整しておくことは必須条件です。
そして、1週間前には「堆肥」と「元肥(化成肥料など)」を混ぜ込み、畝を立てておきます。ここで注意したいのが、石灰と肥料を同時にまかないこと。これらを混ぜると化学反応でアンモニアガスが発生し、せっかく植えた苗の根を傷めてしまうことがあります。
追肥(ついひ)に関しても、タイミングが命です。基本は以下の2回です。
1回目(12月下旬〜1月): 根をしっかりと張らせるための肥料です。
2回目(2月中旬〜下旬): これから球を太らせるための「止め肥(とめごえ)」です。
特に重要なのが2回目のタイミングです。これを3月中旬以降に遅らせてしまうと、収穫時期になっても葉が青々としたままで倒れず、収穫後の玉葱が腐りやすくなってしまいます。「肥料は遅くまでやらない」というのが、保存性の高い玉葱を作る鉄則です。
マルチや不織布を活用する植え付け
畑を見渡すと、玉葱の畝には黒いビニールシートが張られている光景をよく見かけますよね。あれは「黒マルチ」といって、家庭菜園で玉葱を成功させるための最強アイテムです。
黒マルチには、主に3つの大きなメリットがあります。
- 地温の確保: 冬の弱い日差しでも効率よく熱を吸収し、地温を保ちます。これにより、根の活動が止まるのを防ぎます。
- 雑草の抑制: 玉葱栽培で一番大変なのは、実は春先の草むしりです。マルチがあれば、穴の部分以外からは草が生えないので、管理が劇的に楽になります。
- 肥料の流亡防止と保湿: 雨で肥料が流れるのを防ぎ、土の水分を適度に保ってくれます。
さらに、寒さが厳しい地域や、植え付けが遅れてしまった場合には、「不織布」の併用をおすすめします。植え付けた畝全体を覆うように不織布を「ベタがけ」し、端をピンで留めておくだけで、霜柱対策や寒風対策になります。不織布は光を通すので、そのまま春先までかけっぱなしでも大丈夫ですよ。
雨の日の翌日に植え付ける注意点
週末農業を楽しんでいる方にとって、天気は死活問題ですよね。「明日植えようと思っていたのに、今日一日中雨だった…」というケースもよくあります。この場合、翌日に無理やり植え付けを行っても良いのでしょうか?
結論から言うと、土の状態によりますが、基本的には「土が乾くまで待つ」のが正解です。
特に粘土質の土壌の場合、水分を多く含んだ状態で耕したり植え付け作業をしたりすると、土が練られてしまい、乾いた後にカチカチに固まってしまいます。これを「土を練る(こねる)」と言いますが、こうなると土中の空気が追い出され、通気性が最悪の状態になります。玉葱の根は酸素を必要とするので、通気性の悪い土では根腐れを起こしやすくなります。
長靴の裏に土がべっとりと張り付いて取れないような状態なら、作業は延期した方が無難です。水はけの良い砂質土壌なら翌日でも可能な場合が多いですが、無理をして土の構造を壊すよりは、数日待って土がホロホロとほぐれる状態になってから作業する方が、結果的に良い玉葱が育ちます。
収穫を左右する玉葱の植え付け時期まとめ
長くなりましたが、玉葱栽培は「準備とタイミング」さえ間違えなければ、比較的育てやすい野菜です。最後に、関東などの中間地における成功のポイントをもう一度整理しておきましょう。
- 適期は11月中旬〜下旬: 霜が降りる前に根付かせることが最優先。遅くても12月上旬までには終わらせましょう。
- 苗選びは「鉛筆サイズ」: 直径6〜7mmが黄金ルール。太すぎるとトウ立ち、細すぎると枯死のリスクがあります。
- 土作りは計画的に: 植え付けの2週間前には石灰をまき、ガス被害を防ぎましょう。
- マルチを活用する: 地温確保と雑草対策で、成功率がグンと上がります。
最初は「こんなに細かいルールがあるの?」と驚かれるかもしれません。でも、これらのポイントはすべて「玉葱が冬を越すための手助け」なんです。厳しい冬を乗り越えた玉葱が、春にぐんぐん大きくなる姿を見るのは本当に感動的です。そして何より、自分で育てた新玉ねぎの甘さは格別です!ぜひ、今年はこの記事を参考に、美味しい玉葱作りにチャレンジしてみてくださいね。

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